微量に放射能汚染された飲食物の長期摂取に関して

 本文書は汚染、被ばく等の状況が変化したため 2011/6/1にホーム ページのアーカイブに移動しました。文書内では事故当時の数値が用いられていますが、現状では大きく変化しており2011/6/1現在の状況とは大幅に異 なっていますので取り扱いには十分ご注意ください。

 

 国民の皆様におかれましては、東北地方太平洋沖地震に伴う福島原子力発電所事故による放射性物質に由来する健康への影響をご心配のことと思います。特に、放射性物質に汚染された飲食物摂取による身体への影響に関して、ご懸念のことと存じます。

 先日来、国の関連機関から、原乳、野菜、上水道などへの放射性物質の混入が報告されています。これに伴い、国により、飲食物に含まれる放射性物質に関する暫定規制値が設定され、これを上回る飲食物の摂取制限がなされております。暫定基準を下回る飲食物については安全性が強調されておりますが、これらの飲食物の摂取に不安を感じておられる方も多いと思います。そのような方々への情報として、このアナウンスをお出しする次第です。

 まず、このような原子力発電所事故がなくても、我々が普段口にしているすべての飲食物には放射性物質が含まれていることを理解する必要があります(日本アイソトープ協会HPより:出典:文部科学省パンフレット)。たとえば、牛乳やほうれん草には、元々50 Bq/kg、200 Bq(ベクレル)/kgの放射能が含まれています。もともと私たちは微量の放射能に囲まれて生活しているのです。さらに、私たちの身体には必須元素として体重1 kg当たり2 gのカリウムが存在しますが、その0.01%はβ線を出すカリウム-40です。ですから、体重60 kgの人では1秒間に3,600 Bqに相当する放射線を出しています。このように、私たちは、生まれてから生涯、放射線を出す様々な環境の下で生活していることをご理解下さい。

 さて、都内では平成23年3月23日に水道水に放射性ヨウ素210 Bq/kgの混入が認められたため、乳児が水道水を飲むのを控えるよう通達がなされました。平成23年3月17日の政府通知では、成人・小児の放射性ヨウ素に関する暫定規制値を、飲料水300 Bq/kg、牛乳・乳製品300 Bq/kg、野菜類(根菜類は除く)2,000 Bq/kgとしています。また、同通知では、特に乳児については飲料水の暫定規制値を100 Bq/kgとしています。これは乳児への影響は大人より3倍程度高いことが知られているためです。なお一部の報道に、「乳児の甲状腺が発達途上でヨウ素が取り込まれやすい」という説明がされていますが、取り込みの力に年齢差はありません。

 皆様方の健康への影響を、もっとも影響を受けやすいと考えられる乳児を例に考えてみます。乳児については、飲料水に含まれる放射性ヨウ素に関する暫定規制値の上限は100 Bq/kgとなっています(上述のようにこれが最も厳しい上限設定です)。この飲料水で調整したミルクを1回200 ml、1日5回飲んだとします。1日1,000 mlですから体内に約100 Bqの放射性ヨウ素が乳児体内に入ることになります。仮に1 年間飲んだとして、100x365 Bqつまり36,500 Bqです。国際放射線防護委員会ICRP報告にあるとおり、約120,000 Bqの放射性ヨードが体内に入った状態(甲状腺線量0.020Gy程度)でも子供達の甲状腺癌発生が増加する危険はありませんので(平成23年3月18日の本学会アナウンスをご覧ください)、このような条件であっても、子供達には影響はでないことがおわかりいただけると思います。

 また、年長児が、暫定規制値の上限に該当する牛乳(300Bq/kg)を毎日コップ1杯(約200 ml)1年間飲んだと仮定しても、300x0.2x365 Bq、21,900 Bqの量に相当します。これも発癌の危険が発生する量にはなりません。

 野菜などの放射能汚染の大部分は表面に付着したものですから、日常の調理と同様にきちんと洗って用いれば、ほとんど洗い流され、体内には入りません。放射性セシウムも検出されていますが、報告されている量は総じて放射性ヨウ素よりも少ない量であり、同様の対応をとっていただければよろしいと思います。

 実際には、長期にわたるこのような微量の放射線被ばくにおいては、影響を受けた細胞には修復の働きがあるため、発癌の危険はこの試算よりもずっと低くなります。また、上記試算は、年間を通して一定量の放射性物質の混入が同じ量持続すると仮定して計算していますが、今後原子力発電所の状況が改善していくならば、環境中に放出される放射性物質の量が減ることに加えて、一旦環境中に出た放射性物質も徐々に減少していきますので、放射線被ばくは試算よりもさらに大幅に少なくなります。事実、平成23年3月24日午前6時の測定で水道水中の放射性ヨウ素が100 Bq/kgを下回ったため、東京都は摂取自粛要請を取りやめました。

 以上のことから、発出されている政府の指示を守れば、最も放射線に対する影響を考慮しなければならない子供達でも問題とならないことがおわかりいただけますでしょうか。放射線の影響がずっと低い大人では、さらに影響を及ぼすことはないと考えて差し支えありません。

 現在種々の風評が流れていますが、国民の皆様におかれましては、流言に惑わされることなく、政府や関連機関の指示にしたがって行動してくださいますよう、お願い申し上げます。

平成23年3月25日
改訂第2稿:平成23年3月25日

 

 

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